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ステップ0:いちばん大事な心の準備 | はぐもぐ

ステップ0:いちばん大事な心の準備

おもちゃ
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子どものために料理を作っても食べてくれない…。それが続くと、どうしても不安になるし、イライラもしてしまいます。食べさせようとしすぎて、「ごはんイヤ…」と泣かせてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか(編集長の小浦はあります)。親子ともに追い詰められた時に、ふと思い出したのは、イソップ童話の「北風と太陽」のおはなしでした。

「北風と太陽」は、北風と太陽が強さを競い、「どちらが旅人の服を脱がせるか」という勝負をするお話です。
北風が服を吹き飛ばそうと強く吹いても、旅人はぎゅっと握りしめ、結局脱がせることができません。一方太陽が旅人を照らし始めると、ぽかぽかと暖かくなってきて、旅人は自ら服を脱いでしまいます。

この話を思い出して、自分が北風と同じことをしていたと気づいたのです。
北風のように、食べさせようとプレッシャーをかけてしまうと、子どもも緊張し、食事が喉を通らなくなります。大人だって、自分が食べる様子をずーっと観察されていたら、緊張するし、食欲も湧きませんよね。

もし、親子ともに食事の時間が辛くなってしまっていたら、まずはお子さんがリラックスできる食卓に切り替えるために、心の準備からスタートしましょう。お子さんが「食べたい気持ちはあるけどうまく食べられない」というタイプなら、この最初のステップは飛ばしてOK。ゴールを考えることから取り組んでみましょう。

食卓の雰囲気をしっかりリセットする

今まで食べてくれないことにイライラを感じていたなら、既にお子さんが食事の時間にプレッシャーを感じているかもしれません。食べられるように工夫を始める前に、一度、その空気をリセットしておきましょう。

親も子どもも がんばってる

幼稚園や保育園、小学校など、お友達と一緒に食べる給食の様子を聞くと、家では食べないようなものも食べていたりします。それに、外食したり、バーベキューなど、いつもと環境が違うとびっくりするくらい食べることも。私もその様子みて、「家でもこんな風に食べてくれたらいいのに!」と最初は思っていました。でも、今は少し違う捉え方をしています。

子どもたちが給食や外食でしっかり食べているのは、楽しくて美味しく感じるからから…という理由もあるでしょう。それに加えて、「家の外ではがんばる」という意識が働いているのだと思います。外はがんばって、家は素の自分でいられる場所。だからこそ、無理をしない=食べたくないと言えるのだと思います。周りの人や環境に合わせて行動が違っているのは、ある意味、社会性が育っているサイン。TPOに合わせて食べられる子は、成長に伴って解決していくことが多いです。

一方で、家でも外でも同じように食べられない子は、少し注意が必要かもしれません。感覚の過敏さだったり、噛んで飲み込む機能の習得がうまくいってなかったりと、どうしても食べられない理由があるかもしれないからです。この場合は、その子に合ったサポートを確認して取り組むことが必要になってきます。

親だって同じです。家の外でも中でもがんばっていますよね。この記事を読んでくれているということは、お子さんが食べないことを解決したくて、がんばっている方だと思います。

まずは親の心のゆとりを

「食べなさい」「どうして食べないの」という言葉を発しなくても、子どもたちは敏感に親の感情を察します。「こどもが食べられるようになること」を親の責任だと思ってしまうと、上手くいかないときに自分や子供を責めてしまいます。
食卓の雰囲気をリセットするためには、「もう少し見守っても大丈夫」と安心できたり、「まあ、いいか」と今の状況を許せたり、「きっとこの子は大丈夫」と信じられるような親側の心のゆとりが必要です。

心からそう思えるためには、少しずつで良いので「安心できる材料」を揃えていきましょう。たとえば、こんな方法があります。

  • (保護者が)しっかり眠る・疲れをとる
  • 栄養不足の心配がないかチェックする
  • 食べない子への接し方についての本を読む
  • 栄養を補うような食品を使う
  • 身近に相談にのってくれる人・似た経験をした人を見つける
  • 協力してくれる人を巻き込む
  • 食べることを診てくれる医療・療育機関へ相談する

他にも良い方法があるかもしれませんし、これら全てをやってみる必要もありません。何か一つでもよいので、今の状況を変えていけるように試してみませんか。このサイトの中でも、これから取り組んでいけそうなことを、色々ご紹介していきます。

まずは、「子どもが食べてくれないことに悩んでいるのは、うちだけじゃないんだ」「食べないことにしっかり向き合ってくれる支援者もいるんだ」ということを知っておいてください。そして、焦らずにできることを少しずつ取り組んでいきましょう。

ゴールを考える

一人ひとり、ゴールは違ってOK!

「偏食や少食、食べられないことを改善したい」と思ったとき、そのゴールはどこになるでしょうか?「何でももりもり食べられるようになること」をゴールだと考えてしまいがちですが、それは目の前にいる子が生きていく上で、絶対達成しなければならないゴールなのでしょうか?まずは、親として目指したい長期的なゴールと、その子にとって無理のない目の前のステップを考えてみましょう。

親が目指す長期的なゴールって?

子どもが食べてくれないと、「給食で苦労するんじゃない?」「栄養が足りないんじゃない?」「躾ができていないと思われるんじゃない?」という目の前にある不安に囚われてしまいがちです。
でも、それは子育ての通過点で、ゴールではありません。「子どもが親元を離れ生きていくようになる頃、何ができていてほしいのか?」という長期的な目線で、ゴールを考えてみましょう。

  • 自分の健康・安全を考えて食事を選べる
  • 食事の時間を楽しむことができる
  • 自分や家族の健康を考えて料理を作れる
  • 食事を食べられること・作ってくれた人に感謝できる
  • 食事のマナーを身につけている
  • 健康を維持するのに必要な栄養をとることができる

長期的に何を目指すのかは、ご家庭によっても違います。
選べればOKと考える方もいるでしょうし、調理を作るところまで身につけて欲しいと思うご家庭もあるでしょう。胃ろうをお使いのお子さんだったら、栄養の確保+食事を楽しめたら最低限はOKというパターンも考えられます。できれば、ゴールについては、夫婦間でそれぞれの考えを共有したり、揃えておいくことをおすすめします。

こうして、長期的なゴールがを定めておくと、普段の食卓でのやりとりが、お子さんを長期的なゴールに近づけているか?遠ざけているか?と客観的に考えやすくなると思います。

こどもにとって無理のないステップって?

長期的なゴールへ向かっていく過程で、まずは目の前にある小さなステップを少しずつ積み重ねていくことになります。それは、お子さんの年齢や理解度、持病や障害、食べられない度合いによっても違ってきます。

  • 食事の時間がイヤではない
  • 食べ物に興味を持つ
  • 野菜を切ってみる
  • 苦手な食材も食卓に並べてみる
  • 初めての食材の香りをかいでみる
  • 小さなかけらを口に入れてみることができる(吐き出してもOK)
  • 噛み砕いて飲み込むことができる
  • 食卓に座っていられる
  • 少なめに盛り付けて完食できる
  • ごはん以外に箸をつけることができる
  • 楽しく食べられる

どんなステップを設定するかは、お子さんによって違ってきますが、無理強いするのではなく、本人が「これくらいならやってみようかな」と思えるくらいの小さなステップ、そして、過剰な期待をしないこともポイントです。できなくても当たり前。できたらほんの少し前に進めたということです(もちろん、一度できても戻ってしまうこともあります)。

そして、「できた!」という達成感を積み重ねながら、ゆっくりゴールに向かっていきいましょう。

お子さん&家族にとっての楽しい食卓を探そう。

最近は、学習でもスポーツでも「楽しむこと」が上達の近道だとわかってきています。
これは、食べることも同じで、楽しいと思えることが、食事への興味や食べる行動・食欲につながってきます。ですから、親も心から安心して食卓を囲めるようになること、食事の時間が家族にとって楽しい時間になることが、とても大切なのです。

感覚や食べる機能に理由があって食べられない子は、その子にとって食べることが不快・苦痛になっている理由を知り、サポートしてあげることで、ようやく楽しむための土台が整います。それには時間もかかりますし、焦りは禁物です。お子さんが安心してそのステップを積み重ねていくためにも、まずは親側が焦らず見守れる心のゆとりを確保しましょう。